読書感想文の書き出しはこれ!宿題の意識は捨てよ
「僕は〇〇を読みました~」
「私はこの本を読んで~と思いました。」
通常、小学生の読書感想文の書き出しはこんな感じです。
でもこれじゃダメです。
以下、わたしがうちの子どもたちに教えている、読書感想文の書き出しについて書いてみます。
また、「読書感想文」に限りませんが、文章の書き出しについて後世に残る名作からそのヒントを楽しんでいただければと思います。
読書感想文は書き出しが全てです
私が子供たちに教えている事
とにかく、書き出しは「読んだ人を、ビックリさせろ」と教えてます。
学校の先生やクラスメイトをビックリさせるのです。
ツカミですね。
なぜ書き出しが全てなのか
わたしが小学生時分に、こんな話を聞きました。
小説家を志しているある若者が、出来上がった作品を出版社に投稿します。
悪い評価の連絡が届きます。
「そんなはずはない。」
不審に思った若者は、その出版社に出向き、編集者に面会します。
その際、編集者の机から、ロクに目を通した形跡が無い自分の書いた原稿を見つけます。
怒った若者は、編集者に詰め寄ります。
でもその編集者は言います。
「確かに読みました。」
「はじめだけ」
不正確なところがあるかもしれませんが、こんな感じで記憶しています。
この話の主意は、作品を評価するのに、何も全文読む必要は無い。
数行読めばわかるでしょ。
腐った卵を見分けるのに、全部食べなきゃならない、って理屈はないですよねって話。
この話を聞いてから、わたしは、文章の書き出し部から、意識的に「ぼくは、~」「わたしは、~」を排除しました。
書き出しのパターンは3つです
- 興味をそそらせる
- ビックリさせる
- 結論を言う
結論
では、小説、マンガ、歌の歌詞で、実際のところ、検証してみましょう!
名文に小説もマンガも読書感想文もないですよ。
興味をそそらせる
一番オーソドックスなパターンです。
次の文章が読みたくなるような未来を明示、暗示して、グッと読者を惹きつけます。
- 「坊っちゃん」 夏目漱石
親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりして居る。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間程腰を抜かした事がある。
- 「吾輩は猫である」 夏目漱石
吾輩は猫である。名前はまだ無い。
- 「草枕」 夏目漱石
山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
- 「人間失格」 太宰治
はしがき
私は、その男の写真を三葉、見たことがある。
第一の手記
恥の多い生涯を送ってきました。 - 「走れメロス」 太宰治
メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐じゃちぼうぎゃくの王を除かなければならぬと決意した。
- 「雪国」 川端康成
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。
- 「喰いしん坊」土山しげる
モシャモシャ ガツガツ カシャン おかわり!!
- 「賭博黙示録カイジ」 福本伸行
そう 確かにそれはそうかもしれない しかし その未来の行方が 誰も皆明るいとは限らない
- 「スラムダンク」 井上雄彦
ゴメンなさい 桜木君 私はバスケット部の小田君が好きなの
- 「ガラスの仮面」 美内すずえ
北島マヤは一見平凡な少女だった けっして美少女ではなく成績も良くはなかった
- 「今宵の月のように」 エレファントカシマシ
くだらねえとつぶやいて 醒めたつらして歩く
- 「いとしのエリー」 桑田佳祐
泣かしたこともある 冷たくしてもなお よりそう気持ちがあればいいのさ
- 「舟歌」 作詞 阿久悠
お酒はぬるめの燗がいい
肴は炙ったイカでいい - 「卒業写真」 松任谷由実
悲しいことがあると開く皮の表紙 卒業写真のあの人は優しい目をしてる
ビックリさせる
「斜陽」は典型的なパターンですね。
- 「斜陽」 太宰治
朝、食堂でスウプを一さじ、すっと吸ってお母さまが、「あ」と幽かすかな叫び声をお挙げになった。
- 「ドラえもん」 藤子・F ・不二雄
のどかなお正月だなあ。
今年はいいことがありそうだ。
いやあ、ろくなことがないね。
野比のび太は30分後に首をつる。
40分後には火あぶりになる。
↑これ意外ですよね。第一巻の冒頭です。覚えていらっしゃる方もそうそういないんじゃないでしょうか。
首をつるとか火あぶりですよ。児童書ドラえもんですよ。そこにビックリさせられますよ。
結論を言う
わたし、「学問のすすめ」の文庫本、持ってるんですよ。
初編から17編まで200ページ位あるんですけど、冒頭の書き出しが有名なこの一節です。
- 「学問のすすめ」 福沢諭吉
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えり。
- 「風の歌を聴け」 村上春樹
「完璧な文章などと言ったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」
- 「あの鐘を鳴らすのはあなた」 作詞阿久悠
あなたに会えてよかった あなたには希望の匂いがする
阿久悠さんが、ほんとに伝えたかった事。
それは、歌のタイトルでサビの「あの鐘を鳴らすのはあなた」じゃなく冒頭の一節ですよ、きっと!
さいごに
- 興味をそそらせる
- ビックリさせる
- 結論を言う
結論
いかがでしたでしょう?
小学生に説明してもまだチト早いかもしれませんが、中学生ならもう理解してくれるでしょう。
書き出しの重要さの話でした!