コラム

私立高校無償化は不公平か? 調べて分かった驚きの事実!

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「私立高校無償化」が、2020年4月から実施されることになりました。
何やら、2018年くらいから既定路線のような空気が漂っていましたが、政府は消費増税が条件だと注釈を付けた状態でした。10月1日に、増税が実施されるまで、実は未確定だったんです。

 

 

さて、本記事は「私立高校無償化」について調べるうちに、これは看過出来ない、と思った驚きの事実!について書いています。もし、お読み頂いてご存じの内容でしたら申し訳ないんですが、少なくとも私は初めて目にした事実でした。

 

 

もしお時間許せば以下、ご一読ください。実施までの政治的な流れから問題点、個人的にデータなども集計しています。

 

 

 

尚、ややこしいポイントがあります。

  • 高校教育無償化って言っても「公立高校無償化」「私立高校無償化」がある。
  • 「実質」って言葉も、よーく出てきます。

     所得制限の設定金額の問題です。
     世帯年収の設定が低ければ低いほど恩恵に与る世帯は少なくなります。
     (本記事ではそこは深掘りしていません。)

 

 


私立高校無償化までの政治の流れ

2008年 民主党が「高校教育無償化」法案を参院に提出
2010年 民主党政権下で、公立高校実質無償化
2010年 大阪府の橋下府知事により、一定所得以下の世帯に向けて私立高校無償化
2017年 東京都の小池都知事により、世帯年収約760万円(目安)未満の世帯の私立高校実質無償化
2017年 公明党が衆院選で「私立高校無償化」を公約に掲げる。
2019年 自民党の政策パンフレットに「私立高校実質無償化」の文字が入る。

 

政権与党、公明党の私立高校無償化に対する考え方

自公政権の一角、公明党のホームページに下記の記載があります。

 

 

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授業料の負担を減らすために支給されている国の「就学支援金」を拡充し、年収590万円未満のご家庭を対象に、私立高校授業料の全国平均額(年約40万円)まで、支給額の上限を引き上げます。これにより私立高校の授業料が全国平均以下の場合は無償となります。

 

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元々は民主党が言い出したのね。
でも、今回主導したのは、連立与党の公明党なのかな。

 

民主党ってって付けた方がいいのかな。


政権与党、自民党の私立高校無償化に対する考え方

以下、自民党のホームページより引用

 

【2012年2月の自民党コラム 機関紙「自由民主」第2498号掲載】

 

民主党政権で実施された高校授業料無償化。志ある若者が経済的理由で高校に行けなくなることがないようにとの考え方には異論はない。しかし、果たしてこの政策に年間4000億円もの税金を投入するだけの効果があるのか。

 

【2017年衆院選 選挙公約】 
●幼児教育無償化を一気に加速します。2020年度までに、3歳から5歳までの子供たちの幼稚園・保育園の費用を無償化します。0歳から2歳児についても所得の低い世帯に対して無償化します。
●待機児童解消を実現するため、「子育て安心プラン」を前倒しし、2020年度までに、32万人分の保育の受け皿整備を進めます。
●真に支援が必要な所得の低い子ども達に限って高等教育の無償化を図ります。
このため、必要な生活費をまかなう給付型奨学金や授業料減免措置を大幅に増やします。

 

【2019年の政策パンフレット】
●本年10月からの消費税率引き上げの増収分を活用し、3歳から5歳までのすべての子供と所得の低い世帯の0歳から2歳の子供を対象に、幼稚園や保育所などを無償化します。
●来年4月から公立高校だけではなく、私立高校も実質無償化を実現します。
真に必要な子供たちの高等教育(大学等)も無償化し、生活費をカバーするために十分な給付型奨学金を支給します。

自民党の私立高校無償化に対するスタンスのまとめ

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自民党の私立高校無償化に対するスタンスのまとめ

  • 2017年衆院選 選挙公約では、「私立高校無償化」には何も触れていません。
  • 「少子化対策」「働き方改革・女性活躍推進」の観点から、「幼児教育無償化」に積極的。
  • 「高等教育」の無償化にも興味あり。

 

つまり、
高校生には興味なし。
でも連立の公明党の意見もあるから、「私立高校の無償化」もやりましょう、となった2019年、ってとこでしょうか。高校生には手当てする必要は無いというスタンスだったんですね。その前に、幼児と、大学生等に手当てを優先に考えていたんですね。

 

 

(※ちなみに言葉の説明です。)
「高等教育」とは・・・大学、高等専門学校、専門学校などを指します。
「後期中等教育」・・・高校
「前期中等教育」・・・中学校
「初等教育」・・・小学校

 

 

≪自民党の名誉の為に、元大阪市長の橋下さんの指摘も記載しておきます。≫

 

 

「国の役割と地方の役割の理屈を、国会議員が分かっていない。国は大学、高校は都道府県、幼稚園と保育園は市区町村でやればいい」


 

=つまり、「私立高校無償化」は、都道府県の仕事だと述べています。

 


私立高校無償化に反対の意見も多かった

私立高校無償化に反対する国民の意見もありました。理由を要約すると以下5点です。

 

  1. 財源問題
  2. 高校は義務教育じゃない
  3. 子供がいる家庭だけを優遇する不公平感
  4. 経済的に大変なら、公立高校に行く選択肢はある
  5. 教育に関する抜本的なグランドデザインの問題

 

 

とは言うものの、徐々に国民や各政党のコンセンサスも「私立高校の無償化」で意見が集約されていきました。その背景とは?

 

 

  • 親の所得で進学が左右されないよう、階層の固定化を防ぐ。
  • すでに高校進学率98%、就職率0.4%である。
  • 国際競争力アップの為には、国民の学力の底上げと、アッパー層のさらなる突抜けが必須。
  •  

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    問題はここです!

    これ以外に議論されてるの聞いたことあります?

    私立高校に行く理由

    では、私立高校に行く理由は、何でしょう。
    考えられるのは、以下4点。

     

    1. 個別高校の教育理念やプログラムなどを評価して
    2. 私立大学の付属校になっており、ほぼエスカレーター式に大学に行ける高校もある。
    3. 自分の学力に見合った公立高校が近くに無い。
    4. 公立高校に落ちた。

     

    私立高校進学の理由が、消極的理由の③④だった場合、悲しくないですか?

     

    ちなみに、私の住む神奈川県の場合のお話です。神奈川も東京の様に、私立志向の考え方を持つ人も、多くはなってきています。ですが、子を持つ親の実感としては、未だ公立高校を志望する生徒は8割を超えています。
    つまり、公立高校に行きたかったのに行けない人が相当います。

     

     

    なぜ、大阪府、京都府、東京都は「私立高校無償化」した?

    国に先立って、大阪や東京は、「私立高校を実質無償化」しています。
    ではなぜ、東京都は国に先立って2017年から「私立高校無償化」したんでしょう?国の実施を待ってたって良さそうなもんじゃないですか?

     

     

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    ふと疑問に思ったので、全国の公立高校・私立高校の生徒数を調べてみました。

     

     

    文部科学省のデータから各生徒数を調べて、対比表を作ってみました。
    (データは平成28年末に公開されていますが、平成31年8月現在、最新のデータです。)

     

    文部科学省の学校基本調査から計算

    H28 総生徒数 公立(全日制)生徒数 公立% 私立(全日制)生徒数 私立%
    北海道 124,809 95,170 76.3% 29,639 23.7%
    青森 35,606 26,124 73.4% 9,482 26.6%
    岩手 34,720 27,817 80.1% 6,903 19.9%
    宮城 59,791 42,436 71.0% 17,355 29.0%
    秋田 24,865 22,370 90.0% 2,495 10.0%
    山形 30,508 21,407 70.2% 9,101 29.8%
    福島 52,363 41,644 79.5% 10,719 20.5%
    茨城 77,437 56,471 72.9% 20,966 27.1%
    栃木 52,682 36,264 68.8% 16,418 31.2%
    群馬 51,253 38,381 74.9% 12,872 25.1%
    埼玉 172,397 116,819 67.8% 55,578 32.2%
    千葉 149,649 101,228 67.6% 48,421 32.4%
    東京 301,368 125,230 41.6% 176,138 58.4%
    神奈川 200,047 130,319 65.1% 69,728 34.9%
    新潟 57,453 44,952 78.2% 12,501 21.8%
    富山 27,360 21,389 78.2% 5,971 21.8%
    石川 31,599 23,193 73.4% 8,406 26.6%
    福井 21,894 15,865 72.5% 6,029 27.5%
    山梨 24,739 18,221 73.7% 6,518 26.3%
    長野 56,643 46,219 81.6% 10,424 18.4%
    岐阜 54,892 43,138 78.6% 11,754 21.4%
    静岡 97,644 65,436 67.0% 32,208 33.0%
    愛知 194,723 133,518 68.6% 61,205 31.4%
    三重 48,018 37,324 77.7% 10,694 22.3%
    滋賀 38,376 30,890 80.5% 7,486 19.5%
    京都 70,407 38,768 55.1% 31,639 44.9%
    大阪 229,417 133,883 58.4% 95,534 41.6%
    兵庫 138,761 102,145 73.6% 36,616 26.4%
    奈良 35,957 25,581 71.1% 10,376 28.9%
    和歌山 26,954 22,240 82.5% 4,714 17.5%
    鳥取 15,071 11,589 76.9% 3,482 23.1%
    島根 18,597 14,381 77.3% 4,216 22.7%
    岡山 53,386 36,032 67.5% 17,354 32.5%
    広島 70,191 46,940 66.9% 23,251 33.1%
    山口 34,324 23,912 69.7% 10,412 30.3%
    徳島 19,185 18,328 95.5% 857 4.5%
    香川 26,431 20,107 76.1% 6,324 23.9%
    愛媛 34,359 25,922 75.4% 8,437 24.6%
    高知 18,311 12,622 68.9% 5,689 31.1%
    福岡 128,764 74,778 58.1% 53,986 41.9%
    佐賀 24,986 18,947 75.8% 6,039 24.2%
    長崎 38,842 26,244 67.6% 12,598 32.4%
    熊本 48,392 30,727 63.5% 17,665 36.5%
    大分 31,235 22,292 71.4% 8,943 28.6%
    宮崎 31,381 21,596 68.8% 9,785 31.2%
    鹿児島 46,548 31,408 67.5% 15,140 32.5%
    沖縄 45,209 42,383 93.7% 2,826 6.3%

     

     

     

    スマホからだと見づらいと思いますので、蛍光ペンでピックアップした都道府県を再度クローズアップします。

     

    【各都道府県の公立高校と私立高校の生徒数の割合です】

    H28 総生徒数 公立(全日制)生徒数 公立% 私立(全日制)生徒数 私立%
    徳島県 19,185 18,328 95.5% 857 4.5%
    沖縄県 45,209 42,383 93.7% 2,826 6.3%
    秋田県 24,865 22,370 90.0% 2,495 10.0%
    大阪府 229,417 133,883 58.4% 95,534 41.6%
    福岡県 128,764 74,778 58.1% 53,986 41.9%
    京都府 70,407 38,768 55.1% 31,639 44.9%
    東京都 301,368 125,230 41.6% 176,138 58.4%

     

    びっくりしました!
    京都府、大阪府、福岡県の公立高校生徒比率は、50%台です。

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    東京都に至っては41%しか公立高校に通っていません。これって行かないんじゃなくて行けないんじゃないですか?公立高校が少ないんじゃないですか?都市部の人はもっと声を上げるべきだと思います。この事実が後ろめたいから、東京や大阪は私立高校無償化を国に先んじたんじゃないでしょうか。

     

     

     

    近隣他県からの生徒の流入もありますから、神奈川県や埼玉県なども実態と違う面もあります。ただ、徳島県の95.5%、沖縄県の93%、秋田県の90%を考えると、教育を受ける機会が著しく不平等ではないでしょうか。

     

    公立高校の数が少ない

    私が知らなかった意外な事実です。

     

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     地方自治体によって、公立高校の設置に偏りがありすぎませんか。公立高校の設置をしないのは、行政の怠慢じゃないですか。もしかして、行政は、私立高校を生徒数の増減の安全弁にしてはいませんか?

     

     

     学制も、グローバル化の視点から、日本の国際競争力を維持、アップさせるには、高校までは義務教育にした方がいいのではないかと思いますがいかかでしょう。逆説的に言えば、そもそも、高校は義務教育ではない。ならば、公立高校の存在は、民業圧迫なのではないかとも思うわけです。

     

     

    実は、大学についても同様の事が言えます。日本の大学生のうち国公立に通う学生の割合は、ヨーロッパ各国と比較すると、異常に少ないんです。日本は明治初期のお金がない時代のまま、今日を迎えてしまったのでしょうか。
    さて、以上になります。皆さんはどうお考えですか?

     

     

     

    追記

    • 公立高校の学費は安いが、そもそも設置、運営に税金が使われています。
    • 「私立高校の実質無償化」と言われるが、それは授業料についてです。

      依然、入学金や学校納付金、施設整備費や修学旅行の費用など、私立高校は高額な費用がかかります。

    • 高校は義務教育じゃないため、いくら裕福な家庭でも、親の意向で進学出来ない子供がいる可能性も否定出来ません。

     

     

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